校長ニュース

令和2年度 第1学期始業式あいさつ

 さて令和2年度をやっと始めることができました。ただしまだまだ正常化とは言えません。コロナウィルス感染症拡大防止のためにこのような分散登校で放送の形での始業式となっています。

 しかし明けない夜はありません。近いうちに必ずこの大きな災害も徐々にではあるが、解決すると信じています。

 まずはそのために皆さんがどういうことをすべきか、ということを考えてみましょう。

今回はこうした状況なので2点ほどお話しします。

 

 まず一つ目ですが以前皆さんには「正常性バイアス」のお話をしたことがあります。

 昨年の11月の全校集会でのお話しでした。中身はこんな内容でした。

「自らを守るということ」

自らを守るということはもちろん自分の命を守るということです。最近は東日本大震災や巨大台風19号など何十年に一度という災害が発生しています。そして今回のコロナウィルスです。そのため、命を守るということが今まで以上に大切になっています。そして自らの命を守るということは、自分の大切な人の命を守ることにもなります。

 災害時の心理状態とはやってはいけないとわかっているはずなのに、最悪の方向に促されるかのように判断を誤らせて行ってしまいます。コロナ疲れから日に日に油断の気持ちが高まり、アチコチ出歩いたりしていませんでしたか。

これが災害時に言われている正常性バイアス(※)です。

※正常性バイアス…心理学用語で、「自分にとって都合の悪い情報」を無視したり、過小評価してしまう人の特性のこと。自然災害や火事、事故、事件などといった自分にとって何らかの被害が予想される状況下にあっても、それを正常な日常生活の延長上の出来事として捉えてしまい、都合の悪い情報を無視したり、「自分は大丈夫」「今回は大丈夫」「まだ大丈夫」などと過小評価するなどして、手遅れとなります。

 今回の感染症についてもまったく同じことが言えるのではないでしょうか。必要以上に恐れることはありませんが、現在の状況に慣れてきて過小評価していませんか。

現実をしっかりと見つめて冷静に必要な対策を行ってください。そのためには皆さんの自覚が絶対に必要です。

 ちなみに本校は生徒、教職員合わせると約900人になります。その家族まで含めると3000人以上の関係者、つまりそれだけの「大切な人」がいることになります。自らを守り、大切な人を守るためにも、油断することなく冷静な判断と対策を行ってください。

 

 二つ目ですが、先日、宮城まり子さんという方が93歳で亡くなられました。簡単にご紹介しましょう。

宮城まり子

1927年3月生まれ。55年で歌手デビュー。その後、女優としてミュージカルの舞台に立つ一方、映画やテレビ・ラジオにも多数出演。68年に日本初の肢体不自由児養護施設「ねむの木学園」を設立。79年、肢体不自由児のための特別支援学校「ねむの木学校」を開校。子供たちが描いた絵の展覧会やコンサートを開くほか、「ねむの木の詩がきこえる」(77年)など4本の映画を製作・監督し、国内外で高い評価を得る。作家の故・吉行淳之介氏のパートナーとしても知られています。

なぜこの方がこうした活動に身を投じられたかですが、こういうことを言っています。

 「私は障害について、何も知らない女優でした。親戚にも周囲にも障害を持っている人はいなかった。それが、たまたま障害を持っている子供の役をやって、いろんなところに勉強しにいくうちに気付いたんです。不思議だな、障害を持った子供たちが学ぶ学校がないって。あの子たちが泣いているのに放っておいていいのかという、そんな気持ちだけでした」

 実は私事ですが、この方とは50年前に接点がありました。私の地元の方がその学園に農作物を寄付されたんですね。そのお礼として私のいた小学校に講演に来てくれたのです。女優だけあってとてもきれいな方だったなと覚えています。しかしそれ以上に印象に残っていたのは、一番前に座って話を聞いていた私に向かってこういったことを言っていらっしゃいました。

「やさしいことはつよいのよ」

 後から聞きましたが、この方がよく言っていた言葉のようです。

今でも覚えているくらいですから、簡潔な言葉ですがインパクトがありました。

それ以来、ことあるごとにこの言葉が私の頭には浮かんできます。

 宮城さんはこの言葉に引き続き、こんなことも言っておられたようです。

 

 人は二面性があり、強さもやさしさも持っています。時には強く、時にはやさしく。

人は互いに頼り合ったり、 助け合ったりしながら生きていきます。

いつも強い人間なんていませんし、ずっと弱い人間もいません。

自分が強いときには、 弱い人を助けてあげることが必要です。

強さの影にやさしさがうずもれて、自分より弱い人間を助けようとしなかったら、

次は自分よりも強い人間にやられることになります。

そんな社会に幸福の花は咲かないでしょう。

 

皆さんの力によりこの学校にも幸福の花が咲くようにしてください。

新学期が実りあるものとなることを願って、始業式のあいさつといたします。